覚せい剤の使用と売人として Dさんの体験
僕は約5年前、覚せい剤に手を出しました。
初めて覚せい剤を経験したのは、ゲイが集まるパーティーでのことでした。
そのパーティーの主催者から何かの煙を吸うように勧められ、まさかそれが覚せい剤だとは思わずに、軽い気持ちで吸ってしまいました。
始めは効いているのかどうか分からないくらいのボンヤリした感覚でしたが、数回吸っているうちに少しずつ体の感覚が鋭敏になっていくのを感じ、そのままその彼とセックスしました。
その後は数ヶ月に1度、その人に誘われれば覚せい剤を吸う、という時期が1年ほど続きましたが、徐々に覚せい剤が欲しい気持ちが大きくなり、SNSなどで一緒に遊んでくれる人や譲ってくれる人を探すようになりました。
そして手頃な売人に出会い、自分で欲しい時に入手できるようになると、毎週のように使用するようになり、また覚せい剤が切れた時のうつ状態も酷くなってきたために仕事も休みがちになり、ついには休職することになりました。
収入がなくなると覚せい剤が買えなくなるので、僕は仲良くなった売人(おそらく暴力団関係者)から通常よりも少し安めに覚せい剤を売ってもらい、それを通常の末端価格でゲイを相手に売ることを始めました。
新宿エリアを中心にSNS等で顧客を増やし、最終的には約50人が顧客になりました。その他、売買関係はなくても覚せい剤を通して知り合ったゲイが数十人いましたので、当時は80人程の覚せい剤を使用するゲイと繋がっていました。
そのような生活が約半年続いたある日の朝早く、警察が家にやって来て僕は逮捕されました。
そして覚せい剤取締法違反(営利目的所持及び使用)で有罪となり、懲役三年の実刑判決を受けました。(通常、覚せい剤所持と使用の初犯では執行猶予が付くことがほとんどですが、営利目的所持の場合は初犯でも実刑判決は免れません。)
約二年半を刑務所の中で過ごした後に仮釈放をされて、現在は保護観察所で更生プログラムを受講し、近所の保護司さんのところに通いながら、社会復帰を進めています。
現在、覚せい剤使用者とは全員関係が切れて連絡手段もありませんが、SNSを覗いてみると当時と状況は変わらず、薬物に溺れていると思われるゲイが多く見受けられます。
覚せい剤に溺れた経験のある人間なら、一目見ればその人が違法薬物を使っているかどうか分かります。
逮捕される数ヶ月前から酷い幻覚や妄想も出ていたので、使用している人が苦い状況にあるのも分かります。
今、僕は、覚せい剤によって自分や関係した人たちの人生を狂わせ、多くの大切な人たちを苦しめ、裏切り、そして悲しませたことを常に後悔しながら生きています。
違法薬物がもたらすものは、一瞬の快楽と引き換えにやってくる破滅と死ぬまで続く悲しみであることを、僕は身を以て経験しています。
しかし、だからこそ僕は自分のような人がこれ以上増えてほしくないと強く思います。
違法薬物は本当に身近にあって他人事ではないこと、一度手を出せば元には戻れないことをみんなに知ってほしいですし、既に薬物に苦しんでいる人には、勇気を出して誰かに助けを求めて欲しいと思っています。
こんな僕の体験が、少しでも違法薬物追放のお役に立てばと心から願います。
書き込み日 2018-06-24